【出前講座】柏崎市立松浜中学校のみなさん
5月23日(月)に、柏崎市立松浜中学校で全校生徒118名を対象に避難訓練後の防災講話を行いました。
松浜中学校は、海岸から250メートルに位置しており、3年前の東日本大震災を機に、津波を想定した避難訓練を毎年行っています。
23日の訓練は、平日午後に佐渡沖を震源とするマグニチュード5の地震が起きたという想定で行われました。年度が明けて初めての避難訓練ということで、今回は津波が発生しない想定で、玄関前の広場に避難しました。
生徒達は、手近にある教科書などで頭部を保護しながら素早く避難していました。
避難後の安全担当の先生による講評では、津波想定が出た場合は学校から1キロ強離れた「クリーンセンターかしわざき」に避難すること、災害は学校にいるとき以外にも起こりうるため、自分で考えて行動することが求められていることなどがアナウンスされました。
※白い丸で示した目的地が、津波避難場所の「クリーンセンターかしわざき」です。
その後、体育館へ移動し、先日三条第四中で実施した内容とほぼ同じである「中学生が防災教育を学ぶ意義~熊本地震被災地で見たことをもとに~」と題した防災講話を行いました。
★講座の流れ
避難訓練(30分)→防災講話(35分)→防災グッズチェックリストのおしらせ(5分)
講話の導入として、熊本地震被災地の被害の様子と、中越沖地震当時の校区の被害の様子を見比べてもらいました。津波の発生しない内陸型の地震ということで、ブロック塀や家屋の倒壊が非常によく似ていることを確認しました。
また、津波発生時の松浜中の避難場所である「クリーンセンターかしわざき」の被害の様子も確認しました。9年前の中越沖地震ではクリーンセンターの煙突が折れ、センターに続く見慣れた道も人がまともに歩けないほどに陥没していました。
地震災害が日本中どこでも起こりうる災害だと確認したところで、熊本地震被災地の避難所の様子をお話ししました。各避難所では、そこに避難されている方の動き方でそれぞれ全く様子が違っていたこと、また、その中で中学生が活躍していた避難所もあったことを、エピソードを交えてお話ししました。
まとめとして、「なぜ中学生が防災を学ぶのか」「防災(災害に備える)とは何か」をお伝えし、最後に2年前の学校だよりに掲載されていた、防災に関する保護者アンケートを紹介しました。
アンケートによると、「家庭で地震や津波について避難の話し合いをしているか」の問いに対し、約半数の保護者が「ほとんどしていない」もしくは「全くしていない」と回答していました。一方で、「防災(地震や津波)について、今後家族と話合いをしてみようと思うか」の問いに対しては、ほぼ全ての保護者が「大いに思う」もしくは「まあ思う」と回答していました。
各家庭で「家族で防災について話し合いたい…!」と思っているものの、なかなか行動に移せていない実情を確認したところで、防災グッズチェックリストを紹介しました。生徒のみなさんには、この講話やチェックリストをきっかけとして各家庭の防災についての話し合いの口火をぜひ切っていただきたいと思います。
講話後に、校長先生がこんなエピソードを教えてくださいました。ある日、3年生の男子生徒2人が校長室にやってきて、「熊本地震で被災した皆さんのために、校内で募金活動をしてもよいか」と相談したそうです。
「地震で多くの方が苦労されているのを見たり聞いたりして自分たちにも何かできないか」との思いからの行動でした。無事に学校の許可を得て、自分たちで募金箱を作り、1週間、登校する生徒たちに呼びかけたそうです。
熊本から遠く離れた新潟でも、被災された方を思い、自分たちに何ができるのか考え、行動に移している生徒がいることに驚きと感動を覚えました。取り立てて防災について学ばずとも、中学生のみなさんにはすでに他者を思いやる気持ちや想像力が育ちつつあります。
災害時に自分の命を守ることだけを目的とした防災教育ではなく、防災の視点を通して、こういった力も含めた「災害から生き抜く力」を育むお手伝いを、中越防災安全推進機構では引き続き行ってまいります。